2008年5月23日

 短命

身の回りで、「グチ」を言う人が多い。隣の席の木下君や、山田君が双壁だ。雨になれば、「グチ」り、晴れても、「グチ」る。間で私は心の休まる暇もない。150歳まで生存するのではないか、と言われていても、このままではもつまい。110歳ぐらいまでしか生きられず、短命に終わるに違いない。何しろ、この私65歳だから、ほんの少しの行き違いでも、病気になってしまったり、一瞬でも心が暗くなったりしたら、落命してしまうのだ。そこのところを考慮して、大切に扱はなければならない。分別盛りの二人なのだから、そのくらい、この私の命に対して注意深く見守る、と、言った姿勢が必要である。それが人としての正しい生き方なのだ。

それに引き替え、田中君や月田さんは「グチ」を言わない。どんな迫害にも耐え、男らしくあるいは女らしく、おおらかに生きているのである。見習うべきであろう、おそらくお二人は、育ちが良くご両親に正しく育てていただいたのだろう。ただ、田中君はたまに、

「チンコ」と言ってはニンマリしているが、これも、上品な人が、たまたま覚えた(チンコだけに)下品な言葉をつい使いたくなった、と言ったところだろう。「ウンコ」とも言うが、その時は、漏れ聞いた月田さんも口の端を引きつらせる。きっと喜んでいる。「グチ」の程度は山田君が一番で、彼が「グチ」れば、木下君でさえ、沈黙し聞き役に回る。猛威をふるう「グチ」を振り回す、山田君に対して、次の名前を与えたい「グチラー」 あるいは、「グッチ山田」「G・山田」と。いずれにしても不名誉なことである。



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