下請けから脱却するための一流開発部隊への道

第4回 一流開発部隊の育て方

これは零戦の1/20の模型です、きわめて忠実に再現されています。

ご存じの通り零戦は開発当時世界に類をみない抜群の性能を誇る艦上戦闘機だったのです。

昭和15年9月13日当時の中国の首都重慶爆撃隊の護衛任務で中国戦闘機30数機と遭遇し、27機を撃墜、零戦は2機被弾したのみであった。アメリカ軍の新型機投入まで無敵神話を誇ったのでした。

当時航空機開発では後進国だった日本がなぜトップに躍り出ることが出来たのか?

零戦の開発者堀越二郎氏は東京帝国大学工学部航空学科を首席で卒業、三菱入社後1年半アメリカ、ヨーロッパに留学、昭和10年には97式艦上戦闘機を完成させております。日本では1流の技師でした。世界的に見れば、やっと世界のレベルに追いついたところでした。それが世界を出し抜いてトップを取ったのです。

堀越二郎氏が超一流だから零戦が出来たのでしょうか、私は逆だと思います。つまり、零戦が堀越氏を超一流にしたのではないでしょうか。

海軍の要求

① 速度500km/h以上 97艦戦:406km/h

② 航続距離 7時間(3000km)以上:1200km(3時間弱)

③ 運動性能 97式艦上戦闘機と同等以上       

スピードを上げると、回転半径が大きくなります。つまり運動性能が落ちるのです。堀越氏は優先順位をつけることを申し出るが、海軍内部の調整が付かず、結局この無理難題を堀越氏は、実現せざるを得なくなったのです。そして実現しました。

アメリカの主力戦闘機F4Fは、スピードを上げることで、運動性能が落ち、零戦の敵ではありませんでした。

本日の課題は一流開発部隊の育て方です。

もうおわかりかと思いますが、市場の要求がたとえ無理難題であったとしても、安易に妥協せず、彼らが一番を取るチャンスを与えることです。そして少しの失敗には目をつぶりましょう。いずれ彼らは金の卵を産み落とします。

でも彼らに何の武器も与えずに、一番を取ることは出来ません。

次回は、その武器についてお話しいたします。乞うご期待。



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