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前回に引き続き零戦の話から始まります。零戦の優れた特徴は2点あります。一つはスピードと運動能力の両立、もう一つは、ずば抜けた航続距離。
堀越二郎氏は様々な工夫をしています。落下式増槽(燃料タンク)、引き込み足、枕頭鋲、ハミルトン・スタンダード製の油圧式自動可変プロペラ(住友金属工業がライセンス生産)等々だが、この模型をみてもわかりますが、徹底的に軽量化を実施したことです。
当時は有限要素法があるわけではありませんでした。また、コンピューターもありません。この軽量化には大変なご苦労があったに違いありません。しかし、一つの武器が与えられたのでした。
零戦の機体は超超ジュラルミンで出来ています。これは、当時の海軍の要請を受けて、住友金属工業(現在は新日鉄住友)が昭和11年に完成させたアルミニュウム合金で、引っ張り強度で比較するとジュラルミン425N/mm²超ジュラルミン485N/mm²に対し560N/mm²と大幅に強度をアップした材料を堀越二郎氏は得たのです。昭和12年から開発を始め14年に初飛行を実現した零戦の、脅威の航続距離7時間(3000km)実現の裏に材料屋の大変な努力があったのです。
現在も最も軽く最も強度のある航空機の材料として、すべての航空機に使用されています。
JIS番号でA7075 (亜鉛5.5%マグネシューム2.5%銅1.6%他アルミニューム)この材料と比率を決めることがどれほど大変かは想像に難くありません。
今、三菱はMJ2(最高燃費のエアバス)を開発しています。現在アメリカで試験飛行の最中です。炭素繊維を大幅に活用して軽量化を図りTOPに躍り出ようとしています。楽しみです。堀越二郎氏が得た武器は世界1の強度を誇る超超ジュラルミンでした。次回も、スピードと運動能力の両立に必要な武器について、お話しいたします。乞うご期待!